元は『東京学芸大学紀要』に収録された同大学教授の論文。
今は東京学芸大学リポジトリとしてオンライン公開されている。下記リンクで参照できる。
http://ir.u-gakugei.ac.jp/bitstream/2309/42575/1/03716813_54_06.pdf
題名の通り、埼玉県内で民話や伝承の中で語り継がれている民俗学的な岩石の事例を収集している。
埼玉県内の寺社、自治体に問い合わせて、回答を一斉に集め、それを紙幅の限り載せたという内容のようだ。考察は最後に少しあるが所感を出るものではなく、基本的に資料集として読むのが適切だ。
美里町猪俣にある「猪俣の七石」に関する情報が、他では見られないとても具体的な内容を掲載しており、とても興味深い。
2002年当時、この論文を知っていれば、埼玉県在住時代に大いに役立っただろうに。そう思ってしまうが、リポジトリに入ったことで、やっとこの論文の存在を知ることができたのを幸としなければならない。
筆者の本間氏は地質学者で民俗学は畑違いだが、地質学者として岩石に興味を持ったのか、過去1995年にも「民俗学的文献中の石に関する資料」という論文を同紀要で発表している(下記リンク参照)
http://ir.u-gakugei.ac.jp/bitstream/2309/10591/1/03716813_47_14.pdf
さらに、本間氏は「石の魔力で夢をかなえる」(マガジンハウス、2006年)という一般向けの著書を出している。
理系の学者が、石の持つ魔力や魅力について自らの思いを語った内容のようである。
1人の人間が石に抱く哲学ということで、機会があれば入手して読んでみたいものだ。
論文中、石(岩石)と2つの名称を併記している。岩石というのが地質学者らしい。
石と岩石までいくなら、岩も併記しないと不公平感がある。むしろ私は岩石で統一してよいと考える立場である。
岩石は地質学に限る用語ではなく、岩と石を包括する総称として最も客観性が高いと考えているからだ。
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