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2016年6月16日木曜日

堀口大學「石」 ~『日本の名随筆 石』を読む その1~

奈良本辰也・編『日本の名随筆88 石』(作品社 1990年)を購入しました。


















こんな本があるなんて、石に魂を惹かれていない人には微塵も想像できないでしょう。























裏面に収録作一覧。

石・石・石・・・

巻末に、思ってみなかった収穫がありました。























石にまつわる随筆・エッセイの文献一覧が収録されており、石の世界は果てしなく広がります。

石に"狂"じた人々の随筆は、彼らの中だけの哲学と決めつけることはできません。

石に惹かれていない人の中にも眠る、石の哲学の共通項が見出せるのではないか?
この視点から、石に一念を持つ者と持たざる者の比較対照をおこなっていきたい。

1作ずつ読みながら、私の思うところも述べていこうと思います。



堀口大學「石」
―― 石は黙ってものを言ふ
六行の散文詩。
メインテーマは冒頭の引用部分。

雨で濡れようが、太陽で乾こうが、川の流れに当たろうが、それこそ雨にも負けず風にも負けず、泰然自若とする石。
普通は、それに何の意思も気持ちもこもっていないと捉えるのが常識的発想。

堀口大學は、そこに「動かないという主張」を見た。
動かないのは頑固で、反抗的で、周りにおもむらないことの反映。
今風に言えば、空気が読めない。
空気が読めないということは、当世風な存在ではなく、時代を超越した存在とも言える。

単に、悠久不変と石を評価付ける以上の何かは得られそうである。


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