- 人が美しいと感じるものには、自然物と人為物がある。
- 人為物には、よほどの作品でない限り、意恣が見える。
- 自然物にはそれがない。人間の体臭からは程遠い存在である。
- 築庭における捨石は、橋や路傍や滝などに風致を添える石のこと。
- 庭に対しては無用の用を果たしているが、そういう実用性がない分、むしろ石そのものを生かした存在となっている。
- 捨石は、茶道の寂の精神に通ずる。自然さ、静けさ、古めかしさ、内包感、安定感。石の持つ属性に通ずる。
- 実用でなく、非実用に存在している地道な味わいが、石の性にふさわしい。
- 飛石は、庭において歩道としての実用性を持った石である。実用物なのに美しさを感じる理由は何か。
- 一つは、美しさを狙って置いたものではなく、実用に終始する忠実さ、つつましさ。そこに美を発見した。
- 二つは、石を歩く間隔にただ並べただけという簡素さの美。土偶・埴輪・神社・茶室・能の所作・茶器・和歌・俳句などに通ずる簡約の美である。
- 護岸石は、掲げて見るものでも、正面に立てて観賞するものでもなく、土に埋もれ、地と一緒になり、崩れの支えとなっている。
- 石を愛する者は、自然の状態にある頑石らしい頑石を好む。その意味では、偶然に観賞する対象となるのが始めで、それを日常の手近なところに持ってこようとしたのが庭石である。
庭石という世界の中でしか、石は語れないだろうか?
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