ページ

↑ からメニューを選択できます

2016年11月10日木曜日

参考文献~岩石信仰のテーマ別研究~

旧ホームページより掲載します。

――――――



比田井克仁 「東日本における磐座祭祀の淵源」 『古代』第118号 2005年 
ヤマト王権が司っていた磐座祭祀の形態が、王権の勢力拡大に伴って全国各地に普及し画一化したという論。その大枠は同意できるが、磐座祭祀が王権祭祀で磐境祭祀は小規模集団の祭祀という区別や、弥生青銅器の解釈、磐座・磐境の遺跡認定方法などには疑義がある。

鈴木敏弘 『和考研究6 -特集-磐座祭祀から前方後円墳の誕生(1)』 和考研究会 1998年 
『和考研究』(1994~2002年。1~11巻)は、鈴木敏弘氏による個人研究誌。考古学的方法論に立脚しながらも、独自の「磐座」解釈が展開される。特にこの第6号の特集は「弥生時代の磐座祭祀が変容して前方後円墳の成立につながった」という、ここでしか見れない主旨。

篠原祐一 「石の和幣が語るもの-石製模造品祭具からみた古代祭祀の展開-」 『第11回特別展 帆立貝型古墳を考える』 かみつけの里博物館 2003年 
精霊信仰は縄文時代に遡る先出の精神観念と捉え、それに対し、降神・憑依思想は中国の道教由来の精神観念とみなす。古墳時代の石製模造品に見られる穿孔は、樹木に懸垂し神を憑依させるものであり、律令期の神籬祭祀の源流はこの時期に求めることができるとする。東アジア視点で日本列島の神観念を深耕した研究だが、律令神道の文献を前提に置いた解釈が、逆に多様な考古資料の解釈の視野を狭めているのではないかという疑問もある。穿孔=依代という解釈も、装身具ほかの用途可能性を考えるとやや性急と思われ、慎重に考えたいところ。

柴田徹 「考古学のための岩石鑑定ミニ図鑑」 東海大学校地内遺跡調査団・編 『東海大学校地内遺跡調査団報告』2 1991年 
タイトルのとおり。岩石鉱物の見分けはプロ以外の門外漢には難易度が高い技だが、考古学に必要な岩石の観察ポイント、鑑定の基準を要点よくまとめた一考。岩石鉱物辞典と併用してよく活用させていただいている。

 『縄文時代文化研究の100年 第4分冊 遺物研究 付編 1998年の学会動向』(縄文時代 第10号) 縄文時代文化研究会 1999年
縄文時代の「よく分からない石器」についての1999年時点での考古学の到達成果を網羅。

『縄文時代文化研究の100年第3分冊型式研究、方法論、集落・領域論、葬墓制研究、遺構研究、生業研究、関連科学研究』(縄文時代第10号) 縄文時代文化研究会 1999年
縄文時代の「よく分からない配石遺構」についての1999年時点での考古学の到達成果を網羅。

山本暉久 「石柱・石壇をもつ住居址の性格」 『日本考古学』第1号 日本考古学協会 1994年 
縄文中期~後期、中部・関東地方で盛行した敷石住居遺構を取り上げた研究。祭祀行為を兼ねた一般住居であったという性格論を確立し、「祭祀=特殊」と早合点する考古学の大勢を戒めた。

向井一雄 「研究史・古代山城-神籠石論争から研究課題まで-」 『季刊 邪馬台国』108号 2011年 
考古学用語として定着してしまっている「神籠石」の問題を学史から浮き彫りにし、最新の研究成果を織り交ぜて「古代山城(こだいさんじょう)」への枠組を提唱。

黒田一充 「浮殿と神輿休石-神幸に立ち寄る聖地-」 『大阪府立近つ飛鳥博物館館報』2 1997年 
全国各地に僅かに残る「神輿休石」だが、かつては相当数盛行していたことを九州の事例群と江戸時代の絵図から読み解く論考。

加藤碵一・遠藤祐二 『石の俗称辞典-面白い雲根志の世界-』 愛智出版 1999年 
石にまつわるさまざまな名前・名称をあいうえお順に収録。著者は地学・鉱物学の専門家のため説明も微に入り細を穿つ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

記事にコメントができます。または、本サイトのお問い合わせフォームからもメッセージを送信できます。