2017年5月3日水曜日
ゆうれい石(三重県四日市市)
三重県四日市市西坂部町御館
個人宅敷地内に現存。
所有者の方に許可を得て拝見した。
この場所を「そうれん墓地」とも呼ぶ。
高さ50㎝程の、手で持って運べるような大きさの、何の変哲もない石である。
が、この石を家に持って帰ると、寝ている時に女中装束の女のゆうれいが現われるという。
きまって、畳をほうきで掃くようなしぐさを見せるという。
真偽を確かめるため、複数の人がこの石を持ち帰ったが、晩になって例外なくゆうれいが枕元に立ったため、皆おびえてその石を元の場所に戻したという逸話も付帯している。
『みえの民話』の考察によれば、菰野の千種城主の愛姫がこの地で家臣に殺され、その怨念が宿った石ではないかとされている。
根拠として、遍照院の名僧が供養で読経したところ、千種家の紋である笹龍胆が石の上にボオッと浮かんだと語ったとある。
このように聞くと、忌避される存在のような石だが、次のような話もある。
所有者の方の話によると、この石は足の病にご利益があると信じる人がいて、かつては願掛けに来る方もいたという(なお、近くには日本武尊の足洗池がある。関連性は不明)。
今はもう、ゆうれい石を訪れる人も絶えて久しいとのこと。
数十年後には、ゆうれい石の存在も風前の灯かもしれない。
<参考文献>
四日市市三重長寿会 編・発行 『みえの民話』 1977年
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