奈良県奈良市今御門町1番地
奈良市の中心繁華街「ならまち」の街角に道祖神社が構え、社殿脇に上写真の高さ1.3mの岩石がまつられている。
社頭の看板では、「境内の巨石は賽の神として勝負の守護神として篤い信仰」を集めたとある。
しかし、猿田彦神社すなわち道祖神社の名をもつのだから、元々は「塞の神」(境界の神)として出発したものだろう。
そして、『石の声』(1983年)によると、地元ではここを「石荒神」と呼んでおり、社頭看板には記されなかった歴史を有していたことがわかる。
同書によると上写真の巨石は大正時代初期に置かれたもので、石荒神と称される岩石は社殿内に秘匿されてまつられているのだという。
道祖神社社殿 |
道祖神社を管理する御霊神社の元宮司が昭和戦後の神殿修復の際に実物を見たことがあるといい、その発言によると直径20㎝、長さ30㎝の男根の形をした自然石だったとのことである。
社殿脇に置かれた巨石は、なぜ大正時代に置かれることになったのか今はそれを知る人も記録もないが、今はもう拝観することができない神体石の代わりに、当社の岩石信仰を視覚的に受け継いだ存在となったと言える。
参考文献
参考文献
朝日新聞「こころのページ」[著] 『石の声』(朝日カルチャーブックス22) 大阪書籍 1983年
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