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2017年5月16日火曜日
生駒山寶山寺の般若窟(奈良県生駒市)
奈良県生駒市門前町1-1
通称、生駒聖天として知られる生駒山寶山寺は、伊勢国出身の湛海律師の開山によって、貞享5年(1688年)に初めて本堂が建立された。
ここに寺を開山した理由は、寺伝によると本堂裏にある朝日嶽の般若窟にあると伝えられる。
般若窟は、由緒書によれば「中生代、古瀬内火山に属する一火山の噴火口類」とされる自然の岩屋である。
この窟は、役行者が修行して大般若経を納めたと伝えられる聖跡で、また、若かりし頃の弘法大師が修行したという伝承も付帯していたことから、それを聞いた湛海律師が「ここで弘法大師と共に弥勒菩薩下生の時を待つ」と語り、寺を開いたと伝えられる。
実際のところは不明であるが、湛海律師が入山した時、般若窟の頂上で古い五輪塔がすでにあるのを見たという。
般若窟の平坦地でも、弘安5年(1282年)の銘が入った石塔が発見されている。
また、般若窟に以前からまつられていたとされる神として、岩船明神と弁財天がいる。
湛海律師が入山まもなく、まだ般若窟を見つけていない頃、深夜に怪物に抱きしめられ、後日、その怪物に似た「ごつごつとした岩」を般若窟の岩船明神社で見かけた。
さらに、ある弟子の顔が弁財天に見えた時があり、麓にあった弁財天社が「お山に帰してほしい」と言い出したため、元の場所といわれる般若窟に戻したのだといういわれがある。
般若窟は上写真の通り、立入禁止となっているが、窟の奥に見えるのが岩船明神社と弁財天社である。
このように、伝承上であるが寺院開山以前からの神々や聖跡を宿す岩窟であることがわかる。
<参考文献>
『生駒山寶山寺 寶山寺資料』 寺務所にて購入
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