――こうやって石で手すさみする癖がなかったら、自分はあそこで死んでいた。私は石に助けられて生きているのだ。
こう語るのは、江戸時代の「石の長者」木内石亭である。
理由はわかっていないが、石亭は妻とともに三年間牢に入れられていた。
夫妻は、朝起きてから夜寝るまで、石玩びをひたすら楽しむ三年間だったという。
周囲の者が獄中生活で病んでいくなか、夫妻はいささかの悩みもなく、健やかに過ごすことができた。
本当かどうかは、石亭自身が「自分が牢屋で死ななかったのは石のおかげである」と公言している以上は、信じるしかないだろう。
このように、石に救われる人々が一定数いる。
石が持つ力について、メディスン・ホイールの概念から説明するのが、ネイティブアメリカン北シャイアン一族出身のヘメヨースト・ストーム『セブンアローズ』である。
http://www.aritearu.com/Influence/Native/NativeBookPhoto/SevenArrows.htm
(「インディアンの伝記や物語を記した文献」より)
メディスン・ホイールとは、石の輪のことである。
形態的には、環状列石と同じものを指す。
が、していることは「世界の見方を学ぶこと」である。
――たとえば、目の前二メートルほどのところに石をひとつ置いて眺めている。その石を中心にして、直径二メートルの円を描くように周囲を移動し、いろいろな点からその石をじっくりと見てみる。そうやって石の周りを一周し、石のいろいろな面を克明に見ていくのだ。一周したら目を閉じてその石を今度は心の目で見、その後、目を開けてもう一度その石を見てみる。そのとき、最初に見たときとその石は同じに見えているだろうか?石はまったく違う見え方をしているはずだ。石が変わったのではなく、それを見る方が変化したのだ。
シャイアン一族の子供たちは、こうやって石から学ぶのだそうである。
ここで、北山氏はメディスン・ホイールの造り方を指南してくれている。
要旨をまとめて、ここで紹介したい。
石から学びを得たい方は、試されてはいかが。
日程と場所の設定
- メディスン・ホイールを造る「特別な日」を設定する。
- メディスン・ホイールは一人で造らなければいけない。
- 沈黙のうちに造ること。
- 見晴らしの良い場所に造る。
- あまり他の人に見つからないような場所が良い。
- 変化の激しい場所は望ましくない。
石の選びかた
- 握りこぶし大の石を15個と、それより一回り大きい石を12個用意する(選んだその場所にあると良い)
- すべて自然石を選ぶこと。石の大きさはそろっていた方が良い。
- 石の個数は、造りたいメディスン・ホイールの大きさに応じて、多少前後しても良い。
- 運んだ石の総重量は、あなたのカルマ(業)の大きさと言える。
メディスン・ホイールの造りかた
- 握りこぶし大の石7個を使って、石の輪を作る。
- 輪の中心に、人が一人座れるスペースを取っておく。それくらいの輪の大きさにする。
- 次に、握りこぶし大より一回り大きい石を使って、先ほどの石の輪の外側にもう一つ輪を造る。
- 最初の1個目は、北に置く。
- 右回りに30cmほどの間隔で2個目、3個目、4個目を置いていき、4個目が東にくるようにする。
- 今度は1個目から左回りに、5個目、6個目、7個目を置いていき、7個目が西に来るようにする。
- 4個目と7個目を起点にして、南へ向かって石を合計5個並べる。
- 5個の中心がちょうど南に来るように配置する。
- 中心の輪の東西南北の石を起点にして、それぞれさらに外側へ等間隔に、握りこぶし大の石で4本のスポークをつきだし、スポークの先端に大きい石がくるようにする。
メディスン・ホイールの観察方法
- 完成したら、まずはしばらくメディスン・ホイールを観察する。
- メディスン・ホイールは、あなたの人生そのものをあらわしている。見る角度、方角には、それぞれ一人一人に異なる意味がある。
- 東の石から、西の石から、南の石から、北の石から、ホイール全体を見渡してみる。
- いろいろな角度から、石を見る。
- メディスン・ホイールの周りを回り、いくつのかの場所を決めて、座り込んで、見る。
- 座り込んだ場所のどこかに「自分にとっての旅の起点となる最初の場所」がある。それを見つける。
- 「最初の場所」を見つけたら、そこから見えるメディスン・ホイールは「自分がはじめて見た世界」である。
- しかし、それは世界の見方のほんの一面にしか過ぎないことを理解すること。
- 「最初の場所」以外から見える見方は、世界の別の見方となる。様々な世界の見え方を、メディスン・ホイールを通して学ぶこと。
- メディスン・ホイールの多様な見方を学べた時、そこはあなたにとって、何度も訪れることになる生涯の特別な場所になる。
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