三重県四日市市尾平町 神明神社境内
参考文献
かんざき風物詩編集委員会・編発行『かんざき風物詩』2012年神明神社の拝殿前に、2体の岩石が左右に分かれて相対しているのが見えるだろうか。
これを「撫ぜ石」と呼ぶ。
『かんざき風物詩』では、撫ぜ石がいつから信仰されてきたのかについて聞き取りが収録されている。
土地の神社の世話役の話によりますと、神明神社の先々代の神主さんが何かの意図でどこからか石をもらい受けて境内に奉ったのが起源とのことです。
(『かんざき風物詩』)
これが事実であれば、比較的近年の出来事で、神官が設けた石占の事例と言えるだろう。
愛知県岩倉市の新溝神社では、数年前に伊勢神宮の神官の話を受けて作ったという「願い石」がある。
三重県鈴鹿市の加佐登神社の拝殿前にある石は、数代前の神官が境内から見つけて、ただならぬ石として安置されることになった。
これらには共通する岩石信仰の流れを感じる。
拝殿向かって右側の撫ぜ石
拝殿向かって左側の撫ぜ石。木でやや隠れ気味。
石占に用いようと考えたこの石を、どのような基準で選定したのだろうか。
ただの石が、特別な石になる瞬間である。
石に斑点や線があるといった色合いなのか、形状なのか、はたまた別の要因か複合的なものか。
意図的に設置された石だからこそ、信仰者の岩石信仰がダイレクトに岩石の外面に現われ出ている。ここに自然石をそのまま信仰した場合との差がある。
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