神奈川県小田原市水之尾
水之尾地区は小田原石の産地として知られ、この一帯を石切山と呼んでいた。
戦国時代、北条氏が小田原城の石垣の石材として、当地の山肌の露岩を切り出そうとした。
すると、露岩から突如として血が流れ出た。
その夜、ある人の夢枕に「私は毘沙門天である。私の身を傷つけるな。そうすればお前たちの守護神となろう」と告げたことから、石切は中止されて露岩そのものを毘沙門天としてまつった。
元禄15年(1702年)には、当時の小田原城主がこの話を聞いて毘沙門堂を建て、北向毘沙門天とも称した。
寅年の4月に本尊が開帳されるというが、当地の毘沙門天はたとえば磨崖仏のように岩肌に仏の姿を刻することはなく、自然石をそのまま毘沙門天とみなした自然石信仰であり珍しい。
毘沙門天堂の石にイボをこすりつけるとイボが治るという信仰も付帯しており、イボとり石としても知られる。
水之尾毘沙門天。鳥居が立つお堂で神仏習合の様相。 |
岩肌に接して本堂が建てられ、毘沙門天とされる露岩本体の様子は開帳の時を待つほかない。 |
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