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2019年5月13日月曜日

佐伎治神社裏山の大岩(福井県大飯郡高浜町)


福井県大飯郡高浜町宮崎





2015年に「再発見」された大岩である。
その経緯を報道した福井新聞の記事(下リンク)が詳しい。

伝説大岩を工事関係者が偶然発見 高浜の山中、神社に言い伝え | 福井新聞ONLINE

要点を列挙してみる。

  • 大岩は高さ14メートル、周囲40メートルを測る。
  • 2015年、砂防ダムの調査に来た業者が大岩を見つけて佐伎治神社の宮司に報告した。
  • 宮司談「昔から大岩があることは、先代の宮司らから聞いていた。山林の地名自体が大岩とも伝えられていた」
  • 大岩は宮司によっておはらいされ、「神宿る岩」と命名された。
  • 『高浜町史』によれば、佐伎治神社の裏山には砕導山城(さいちやまじょう)がかつてあり、掲載地図には神社の南に大岩が図示されているという。

以上のことから、大岩は地中には埋もれていたわけではなく、町史編纂時点でも図化されていた存在のようであり、その存在は完全に見失われていたわけではない。
それが2015年、業者経由で神社の耳に入ったことで、「再発見」となった経緯が浮かび上がっている。

佐伎治神社の裏山の大岩と聞くと、否応なく神社信仰との関係が取りざたされるが、社頭概誌には佐伎治神社が元はこの地ではなく、別の場所にあったことが記されている。

往昔は或は薗部村なる深田の中園池林という処に在りしとも言い、或は現今の城山の地に在りしとも言う
(社頭概誌)

佐伎治神社は延喜式内社であるが、鎮座地が当初から固定化されていたと考えることには慎重であらねばならず、そうすると大岩との関係は歴史的には切り離して考えたい。

ただし、一方で現在この大岩は、佐伎治神社によっておはらいをなされた上で「神宿る岩」として、この21世紀に神聖視の対象となったことも揺るぎのない事実である。



地名としての「大岩」からは特別視の意識は読み取れるが、 佐伎治神社遷座以前あるいは以後における神聖視の時期があったかは読み取れない。

立地的には山の入口から5分歩いた山麓寄りの山腹で、砂防ダム調査時に見つけたとあるとおり、沢沿い谷間の環境である。
他例における水と岩石信仰の親和性の高さを鑑みれば、この大岩自体の聖なる環境条件としては十分そろっている。

佐伎治神社公式サイト


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