京都府宇治市宇治山田
宇治平等院から宇治川を挟んだ北岸、仏徳山(大吉山)の山裾に宇治上神社と宇治神社が鎮座する。
明治時代以後、宇治上神社は上社、宇治神社は下社として位置付けられているが、『延喜式』神名帳で「山城国宇治郡 宇治神社二座」と記録された二社に相当する。
二社を併せて宇治鎮守明神・離宮明神・離宮社・離宮八幡などのさまざまな名称で呼ばれた。
その宇治上神社の本殿の東隣。
なかば唐突な感じで佇むのが天降石(てんこうせき)である。岩神さんの異名も伝わる。
詳しい由来は不詳ながらも、その名称から神として信仰された一面、天から神あるいは岩石自体が降臨したという伝承の一面をうかがわせている。
京都新聞の『岩石と語らう』の記事によると、神社談の仮説として「隕石」説と「かつて何らかの社があった跡」説を紹介している。
社域内の社殿と岩石のお互いの位置関係から考えると、社域の中心は本殿・拝殿であり、岩石はその合間に置かれた感がある。
本殿・拝殿に後発して岩石が出現・信仰された可能性は比較的高い。
岩石が出現した理由が隕石によるものとすれば興味深いが、鑑定はされていないのであくまでも推測の域は出ていない。
少なくとも、現在は岩石の上にうず高く石が積まれていて、人々が様々な思いを重ねた積石祭祀の典型を見せている。
参考文献
- 竹村俊則 『昭和京都名所図会』7 駸々堂出版 1989年
- 京都新聞記事『岩石と語らう 140 宇治上神社の天降石』(1999.7)
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