愛知県豊田市近岡町小原
旧足助町内を流れる巴川の川沿いに、雨乞石とも水神さんとも呼ばれる岩石が残っている。
南から撮影。橋のたもとにあり、特別な石とわかるように2本の杭が立つ。 |
北から撮影。石の奥に巴川が流れる。 |
もともと川の中に沈んでいた岩石が、一夜の内に現在の場所に動いたものといわれ、名前の通り、雨乞いや水の神様として信仰された。
この伝説からは、岩石自体に主体的な意思が認められ、石神としての神格を感じさせる。
同時に、石神が水中から現れたという流れも伝えている。
長期にわたり雨が降らない時は、この岩石の上で神官が祝詞をあげたり、岩石を川の中に引き入れて願掛けをしたといわれる。
昭和初期まではこのような祭祀が行われたといわれる。
岩石の上に司祭者があがるという構図は、石神だけでなく磐座や司祭者の台座としての機能も融合したものと思われる。
岩石を川の中に入れるということは、この岩石は幾度か場所を行き来したと解することができ、それが道具としての使われ方なのか、石神が元いた場所へ往還することを象徴していたのか、これも複数の解釈が可能だろう。
おそらくは、長い時間の経過の中で、いろいろな人々の心理的要請が混ざり合った結果なのだと思う。
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