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2020年3月16日月曜日

山科の白石神社/白石大明神(京都府京都市)


京都府京都市山科区小山御坊ノ内町

山科区の北東部に位置する小山地区は、景勝地である音羽山の西麓に位置し、里には音羽川が流れる。

この小山地区の鎮守を白石神社という。白石大明神とも称する。
音羽山から伸びる低丘陵の南山裾に鎮座しており、まさに里と山の境にある。

白石神社入口。背後の里山は緩やかな三角形の山容。

境内に入ると、社殿よりもその右隣に社の規模をゆうに一回り二回り越える巨石が否応なく目につく。
高さ約5m、幅約8~9mの規模で、あえてたとえるなら船形をなしている。

白石神社境内

社殿脇の巨石。白石という。

白石の全景

白石神社は、大同年間(806~810年)に勧請されたとされている。
その後に出た『延喜式』神名帳に当社の記載がないのが気になる点だが、現在の白石神社の簡素な神社設備を考慮すると、当時の神社認定の条件からは外れる場所だったのかもしれない。

また祭神は「伊ざなきの命」「伊ざなみの尊」の二柱だが、巨石は1体であり、夫婦神を見出す要素はこの巨岩からは見いだせないのが気にかかる。
社伝では傍らの巨岩を白石と呼ぶことから白石神社の名があるというので、信仰の出発点にこの巨石があったことは否定しにくい。
里から山に入って、最初に目に入るのがこの巨大な白石だった。そんな立地と、巨石の存在を以て神域の形成条件が事足りていたとも言える。

巨石や巨岩を祭祀の対象とする神社において、岩石の手前に社を設けるパターン、岩石の上に社を設けるパターン、そして当社のように岩石の傍らに社を設けるパターンなど木造社殿と自然石の位置関係にはいくつかの類型が認められ、それらの違いは何に起因するものなのかという疑問点がある。
もちろんこれは、各事例における地理的制限なども加味して考えなければならない問題である。

なお、小山地区の音羽川沿いでは毎年2月9日に、藁で作った大蛇を霊木とされる松の木にかける「にのこう」という山の神の祭礼が行われている。

にのこうの藁蛇


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