2020年10月25日日曜日

日峯山遺跡~山頂直下に形成された岩石信仰の祭祀遺跡~(福岡県北九州市)


北九州市八幡西区浅川日の峯 日峯山


日峯山は標高113.9mの山で、日峰山・日ノ峰山などの表記もある。

山頂直下にかつてあった女郎岩(上﨟岩)の手前から、古墳時代中期以降の土師器群が出土して、日峯山遺跡(日峰山遺跡)の名前でも知られる。

山頂で祭祀を行わず、山頂直下の岩石の前で祭祀を行なったと推測され、古墳時代の山岳信仰や岩石信仰のありかたを考えるうえで重要な祭祀遺跡である。

本遺跡については、拙著『岩石を信仰していた日本人―石神・磐座・磐境・奇岩・巨石と呼ばれるものの研究―』(2011年)において「日峯山遺跡」の一節を設けて紹介しているので、詳細はそちらを参照いただきたい。

この記事では、紙幅の関係上載せられなかった写真を中心に特集する。

日峯山

日峯山頂上(日峯神社上宮の石碑が建つ)

日峯山は四方を見渡すにおいて絶好の眺望

麓の日峯神社


女郎岩/上﨟岩

玉依毘売命にまつわる旧跡とされる。

山頂直下の斜面上に立地していた立石で、周辺は岩場だったという。

日峯山に配水池を造った時、女郎岩が開発区域に入ったため発掘調査が行われ、その結果祭祀遺跡が見つかった。
発掘後、倒壊の危険があるため麓の日峯神社境内に移設された。

なお、女郎岩の南に行った斜面下には「神穴」と呼ばれる場所があり洞穴状になっているようだが、こちらの現状は調べていない。

女郎岩(日峯神社境内 移設後の姿)

立石状の岩盤だったことが窺われる。

裏側

日峯山中腹の配水池(女郎岩旧地付近)

女郎岩があったと思われる場所付近の斜面。岩盤が露出。


国見岩

隠岐国焼火神社祭神の大日孁貴尊が、この岩石の上に腰掛けて隠岐島を偲んだという。

日峯山頂上の北西端にある岩とされる。

日峯山頂上にも露岩が複数見られる。

山頂直下には岩盤がさらに剥き出している。

日峯山がかつて火山だった時の火山岩の様相を残す。

このような岩盤がそこかしこにある。

地図的にはこの露岩が国見岩の場所に当たるが、雑木に隠れている。


琵琶岩

隠岐国焼火神社祭神の大日孁貴尊が、この岩石の上で琵琶を弾いて四方を鎮めていたという。

関連文献を読んでも場所がはっきりせず、女郎岩と同一物説もある。

日峯山頂上には、岩上に座して四方を眺められる場所が複数あり、そのいずれかなのかもしれない。

座れそうな岩その1

座れそうな岩その2

座れそうな岩その3


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