茨城県東茨城郡城里町大字岩船
延喜式内社。「いしふね」と読む。
「石船」は地名および神社名となっているが、境内を流れる岩船川に船形の岩石があること、祭神が鳥石楠船命(天鳥船命)であることなど、複数の由来が想定される。
「石船」は地名および神社名となっているが、境内を流れる岩船川に船形の岩石があること、祭神が鳥石楠船命(天鳥船命)であることなど、複数の由来が想定される。
岩船川 |
石船神社はこの岩船川沿いに鎮まるため、無数の岩の群れが認められるが、現地で次の3つを確認することができた。
兜石
兜石 |
石船神社の特徴として、拝殿の裏には本殿がない。
その代わりとして、兜石と呼ばれる岩塊が、拝殿裏に囲まれた玉垣の中に控えている。
悪神が来た時に、兜石を見せて脅かすため玉垣の中に隠したという理由が付帯されている。
岩石自体に、悪神を脅かさせる霊威があるということが読み取ることができる。
また、祭祀対象が坐す本殿に位置すること、半ば秘匿されていることなどを考えあわせると、岩石そのものに畏れを抱く石神としての性格が認められる。
祭神の鳥石楠船命が、この岩石を指すかというとそこはやや不明瞭な部分がある。
本殿なき当社において、祭神がどこに鎮まっているのかという問題は再検討されても良いだろう。
兜石の下部(玉垣の隙間から撮影) |
石船神社拝殿奥。玉垣内に兜石が控える。 |
船形の岩石
上方より撮影。注連が巡られ神聖視は間違いない。 |
石の上面。真ん中の窪みに水が溜まる。 |
岩船川のほとりにある船形の岩石。石船の由来に相当する石なのか、調べても今一つはっきりしない。
岩石の名称もはっきりしないが、件の岩石に該当するなら「石船」なのだろう。
疑問点としては、神社の中心的な位置づけは後述する兜石なので、社名を背負う岩石として現在の位置が必ずしも中心的とは言い難いものがある。
もちろん現状の印象を記すのみであり、時期によって神社の景観や各種構造物の配置が異なっていた可能性もじゅうぶん考慮したいところ。
岩石の頂面には水溜りがある。
日照りの時、この水をすくって祈願すると雨が降るといわれ、雨乞い石としての性質を今に伝えている。
矢の根石
参道に「矢の根石」がある。
源義家が怪物に向かって矢を射たところ、この石に刺さっていたという伝説が残る。
源義家伝説において、義家は神聖視と特別視の狭間に立つ人物と言っても良いだろう。
人によって、尊敬の対象から、神格化の対象もありえたような、中間的存在だったのではないか。
そのような人物の旧跡となる矢の根石も、同様に神聖視と特別視の狭間にある事例と言える。
0 件のコメント:
コメントを投稿
記事にコメントができます。または、本サイトのお問い合わせフォームからもメッセージを送信できます。