兵庫県淡路市柳澤乙
淡路島の岩石信仰として著名な存在である。
岩上(いわがみ)神社の神籠石は「こうごいし」とは呼ばず、「ひもろぎいし」と呼ぶ。
「ひもろぎ」は「神籬」の字の当てることが一般的だが、類似した「神籠」に転訛的に字を当てた可能性もある。明治時代以降の神籠石論争の影響による命名も拭えないからだ。
そのため、いわゆる「こうごいし」グループからは外して、「ひもろぎいし」の音を尊重したほうがよいかもしれない。
「ひもろぎのお岩さま」が地元で慣れ親しんでいた名称だろうか。
ただし、「ひもろぎ」の概念も多分に後世的な神道的な影響のもと成立した可能性を考えたほうがよく、名称からこの岩石の性格を類推するのはやや危険である。
岩上神社の創建は、社伝では天文10年(1541年)に大和国石上神宮の勧請からなるというが、社名の「岩上」は石上神宮に求めるより、ひもろぎ石ありきの当地の勧請と考えるのが自然だろう。
神社としての歴史は戦国時代からとなるが、それ以前の岩石信仰の存在は認めて良いと思う。
ただし、それを近世、中世、古代、先史時代、どこに位置付けるのかは慎重でなければならない。
ひもろぎ石からは、「平安時代のものと思われる素焼皿が出土」したというが、埋蔵文化財登録はされていないようである。
巨石の周辺から土器や玉などの遺物が見つかれば祭祀遺跡として数えられることもあるが、ひもろぎ石での素焼皿発見はいつどのような状態によるものだったのか、それを記録・紹介する考古学系の先行研究は見当たらない(祭祀系の文脈においても)。
素焼皿発見時の概報など、文献情報などをご存じの方はお教えください。
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