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2021年5月9日日曜日

太駄の岩上神社(埼玉県本庄市)


埼玉県本庄市児玉町太駄


かつて、地図で「岩上神社」の名を見つけて訪れた場所。

地図を開けると、張り出した尾根の先端に立地して、社の前には川が流れている。

地形的に岩盤が露出した尾根の可能性があり、宗教的にはその岩石の露出が神社の選地理由になったかもしれない、という見通しをもって現地をたずねた。






地表から岩盤がところどころに露出している。

表土の覆い具合はかなり薄いので、昔はまた違う光景だったかもしれない。

本殿裏の尾根はラクダの背のようにでこぼこしており、ちょうど隆起するコブの部分に岩が見え隠れしていた。

尾根をさらに進むと本格的な山腹斜面にとりつくが、そこまでいくと露岩は影を潜めた。
山頂まで登るとまた異なるかもしれないが、山端に露岩が目立つというところに岩上の社名の関係を考えることはできる。

しかし、現地看板によると「社殿は元来境内の後方の神山の嶺にあった」という伝えが残るようで、これが事実であれば現在の立地と地質的特徴の話をしても、それは当社の歴史の始原的な部分とは関係がないことになる。

また、岩上神社は現在「いそがみ」と読むらしく、慶長3年(1598年)、石上神宮の神官の一人が当社で奉仕したという。

であれば、岩があるから岩上神社となったという可能性のほかに、石上神宮系譜の「石上」「岩上」の社名が先で、その社名にふさわしい場所を岩の立地に求めたという方向性でも追究できるかもしれない。

しかし、祭神には岩長媛命と石凝姥命など石や岩の字を冠した神名が並び、石上神宮の系譜および分社としての祭神とはそぐわないという点も残る。

祭神も時代の経過で変更が起こることは多く、現状の祭神を以てこれ以上の推測を施すことは控えないといけないが、岩上神社の祭神記録を歴史的にたどることができるか、特に慶長年間以前の資料に出会えることを期待したい。


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