埼玉県飯能市白子
飯能市と秩父市をつなぐ国道299号線は高麗川沿いに切り開かれ、この地域では要衝となる交通路である。
白子地区は西武池袋線武蔵横手駅と東吾野駅の中間あたりに位置し、高麗川が大きく湾曲して蛇行するあたりに目をうつすと、「弁天岩」が川を塞ぐように存在する。
岩の塊というべきか、岩でできた小島というべきか、岩上には鳥居が立てられ、石製の祠がまつられているのが川越しに見える。弁天岩の名を考えれば、弁天をまつるのだろう。
弁天岩は川中に浮かぶため、渡河しないと岩の上には登れず、それが却って現状保存にもつながり、基本的に荒らされてはいない。とはいえ自然のままに任せれば、樹木に覆われてしまうため、祠の神域を清浄に保つなら定期的な剪定も必要のように思われる。
自治会東吾野支部・東吾野体育協会・東吾野まちづくり推進委員会・東吾野地区行政センター作成の「飯能市健康づくりウオーキングコース 平戸・白子コース6,200m」によれば、弁天岩は「江戸時代、材木屋をしていた都築家で江戸に木材を筏にして運んでいたため、道中の安全を祈願して立てた」ものだという。
この点を考えると、川が大きく曲がる当地は水害が起こりやすく、水運においても事故の危険が高い場所と言える。
そこに設えられたように存在する岩の島へ、水神である弁天をまつろうとしたのもうなずける。
探訪時は、車が行きかう国道沿いにつき閑静な雰囲気には欠けるという印象だったが、ある種、水運から陸運に交通の要が移転したということであり、昔も今も交通の要衝を伝える聖地と考えることもできるだろう。
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