2021年11月7日日曜日

猪子山の岩石信仰(滋賀県東近江市)


滋賀県東近江市猪子町 猪子山


猪子山(標高268m)は、観音寺山を筆頭とする繖山山系の最北端にそびえる。

山中には、主に古墳時代後期の横穴式石室を埋葬主体とする群集墳が100基を越えて確認されている。

この群集墳の中と混ざり合うように、山頂から山裾にかけて岩石信仰の場が残されている。




岩船




山裾の船形石。隣接して岩船神社が鎮座する。

神亀5年(728年)、比良大神が比良山からこの岩船に乗って、琵琶湖を渡り当地にやって来たという。


勝菅の岩屋/磐座




岩船のやや上方に位置。

天慶年間(938~946年)、菅原道真の神霊が比良より「繖山の勝菅の岩屋」に鎮まると社伝にあり、これのこととされる。


烏帽子岩/神の磐座



山頂の巨岩。岩肌には豊川大神など複数の神名が刻字されている。

おそらく烏帽子岩が先行する名称で、神の磐座は後世に通称されたものと思われる。


烏帽子岩の手前に接して北向岩屋十一面観音が築かれている。

堂内の奥壁は岩肌が露出した構造で、窟状にえぐられた所に本尊が安置される。


その他(岩神)

藤本浩一氏は取り上げていないが、猪子山には「岩神」と呼ばれる岩石信仰の地も残っているようだ。

能登川博物館のホームページ「遺跡は語る The ruins tell a story」のpdfが掲載されており、その中に猪子山の巨石崇拝として先述の岩船・磐座・北向観音に加えて岩神の写真が掲載されている。

能登川高校の裏、伊庭御殿遺跡、繖峰三神社の近くにあるらしいので改めて訪れたい。


参考文献

藤本浩一 『磐座紀行』 向陽書房 1982年


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