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2024年2月11日日曜日

2010年、茅野駅前から出土した大石(長野県茅野市)


長野県茅野市 茅野駅前縄文公園





SNSで不定期にバズる岩石である。

おそらく最初にバズッたのは2015年。当時の記事を紹介する。

「大きな岩が出てきた。きっと神様の磐座だ。駅前に祀ろう」→昔話かと思いきや、 たった5年前の実話(全文表示)|Jタウンネット


時系列でまとめると、元は2010年に茅野駅前の区画整理工事中に地下3mから出土したものであり、普通は破壊されるところ「丸い巨石」であることから保存されることとなった。

調査の結果では特に歴史性は認められなかった自然石のようだが、「丸い」「巨大である」といったところが、特別視された要素となるようで興味深い。


2023年には福島県田村市の産業団地工事中に、高さ約17mを筆頭とする複数の巨石が出土した。

こちらは現在進行形の出来事だが、自治体としては保存というよりはどのように破砕すべきかに苦慮している模様である。

茅野市の大石が高さ2mに満たず、ある意味で「同居が許容できる存在」なのに対して、田村市の巨石群は都市開発の生活に影響が出る規模なのは言うまでもない。

岩石に限らず、そこを生業とする人々にとって許容できる範囲なのかどうかは重要な要素であり、外野から物見遊山的に当事者の生活を圧迫することは安易におこなってはならないだろう。


なお、茅野市のこの大石は「現代人が岩石をまつった」という現代岩石信仰の事例として語られるが、真に祭祀していると言えるのか疑問を書いておこう。

2015年のバズの時に撮られた写真では注連縄が巻かれていたが、私が2023年に訪れた際は注連縄が巻かれていなかった。また、祭祀には祭祀対象たる神に対して定期的な祭りが伴うはずだが、そのような祭祀が継続的におこなわれているという話を聞いたことはない。それで祭祀対象と言えるのかということを再考しなければならない。

注連縄が一度でも巻かれたらそれは信仰なのか神なのか? 現代人の信仰イメージを考える試金石として注目している。


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